扶養」という言葉を耳にしたことがある人も多いと思います。

おそらくほとんどの人が自立するまでの間、誰かの扶養に入っていたのではないでしょうか?

または配偶者の「扶養内」でパートに行く、なんて話もよくあります。

では、主婦の方や学生さんでフリーランスやパートとして収入がある場合、「扶養」や「税金」はどうなるのでしょうか?

今回はまず「扶養」について理解したのち、様々なパターンを例に「税金」や「控除」とどのように関係しているのか紹介します。

扶養とは

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 扶養とは

扶養=ふようは、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者の生活を他者が援助すること。扶養関係において、扶養を受ける権利のある者を「扶養権利者」、扶養をする義務のある者を「扶養義務者」、実際に何らかの援助を受けて扶養されている者を「被扶養者」と呼ぶ。(Wikipedia)

  • 扶養権利者:扶養を受ける権利がある人
  • 扶養義務者:扶養する義務がある人
  • 控除対象扶養親族:扶養控除の対象になる親族
  • 被扶養者:実際に扶養を受けている人

難しく書いてありますが、扶養に該当する人=扶養権利者、控除対象扶養親族、被扶養者です。

扶養と控除

所得税、住民税ともに扶養している親族の人数や年齢に応じて、「所得控除」として一定の金額が所得から差し引かれます。

つまり、被扶養者がいることによって税金が軽減されることになります。

※所得税、住民税のほかに社会保険でも控除がありますが今回は省略します。

所得税の場合

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 所得税

所得税を算出する際、所得から差し引くことのできる「控除」を説明します。

控除の種類

扶養される人によって、受けられる「控除」の種類が変わります。

  • 配偶者:配偶者控除、配偶者特別控除
  • 配偶者以外の親族:扶養控除

扶養される人の条件

所得税における被扶養者の条件を控除の種類別に説明します。

▼配偶者控除

  • 納税者と生計を一にしている
  • 配偶者である(内縁関係は不可)
  • 給与ではない年間所得が48万円以下
  • 給与のみの年間所得が103万円以下

▼配偶者特別控除

  • 納税者と生計を一にしている
  • 配偶者である(内縁関係は不可)
  • 給与ではない年間所得が48万円超〜133万円以下
  • 給与のみの年間所得が103万円超〜201万6千円未満

▼扶養控除

  • 納税者と生計を一にしている
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
  • その年の12月31日時点の年齢が16歳以上
  • 都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)
  • 市町村長から養護を委託された老人
  • 年間所得が48万円以下
  • 給与のみの年間所得が103万円以下

扶養が適用されないパターン

  • 納税者と生計を一にしていない
  • 婚姻に基づく配偶者ではない(内縁関係、事実婚など)
  • 青/白色申告をしている納税者から、事業専従者として給与をもらっている配偶者
  • 納税者本人の合計所得が1,000万円(給与所得のみなら1,195万円)を超えている
  • 年間所得が201万6千円を超えると扶養から外れる

※2011年以降、16歳未満の子供には児童手当が支給されることになったので税法上の控除対象ではなくなりました。

※進学や親との別居など、離れて暮らしていても仕送りをしていれば「生計を一にしている」と認められます。

所得税における控除の計算方法

例:妻と子供(16歳以上)を扶養している夫の場合

  • 収入−必要経費−(扶養控除配偶者控除+基礎控除などの各種控除)=課税所得
  • 課税所得額×税率−控除額=所得税額

住民税の場合

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 住民税

住民税を算出する際、所得から差し引くことのできる「控除」を説明します。

控除の種類

扶養される人によって、受けられる「控除」の種類が変わります。

  • 配偶者:配偶者控除、配偶者特別控除
  • 配偶者以外の親族:扶養控除、老人扶養控除

扶養される人の条件

住民税における被扶養者の条件を控除の種類別に説明します。

▼配偶者控除

  • 配偶者である(内縁関係は不可)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 配偶者の年間所得が48万円以下

▼配偶者特別控除

  • 配偶者である(内縁関係は不可)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 配偶者の年間所得が48万円超〜133万円以下

▼扶養控除

  • 納税者と生計を一にしている
  • その年の12月31日時点の年齢が16歳以上
  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
  • 都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)
  • 市町村長から養護を委託された老人
  • 年間所得が38万円以下
  • 給与のみの年間所得が103万円以下

扶養が適用されないパターン

  • 納税者と生計を一にしていない
  • 婚姻に基づく配偶者ではない(内縁関係、事実婚など)
  • 青/白色申告をしている納税者から、事業専従者として給与をもらっている配偶者
  • 納税者本人の合計所得が1,000万円を超えている
  • 他の人の扶養親族になっている

※2011年以降、16歳未満の子供には児童手当が支給されることになったので税法上の控除対象ではなくなりました。

※進学や親との別居など、離れて暮らしていても仕送りをしていれば「生計を一にしている」と認められます。

住民税における控除の計算方法

住民税の例:妻と子供(16歳以上)を扶養している夫の場合

  • 給与所得−給与所得控除=給与所得
  • 給与所得−(配偶者控除扶養控除(一般)+基礎控除)=課税所得
  • 課税所得×税率(平均10%)=所得割
  • 所得割−調整控除=所得割額
  • 所得割額+均等割額=住民税額

※住民税は各市町村・都道府県によって税率が異なります。ここでは住民税率を平均10%としてご紹介しましたが、詳細はお住まいの自治体ウェブサイトなどで確認しましょう。

扶養の控除:具体例

ここからは具体的な例をもとに、実際どのように控除が適用されるのかシュミレーションしてみます。

例その1

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

夫は青色申告をしている個人事業主で、妻はその事業の専従者として専従者給与を年間100万円をもらっている。

▼夫(納税者)

  • 所得税:控除対象外
  • 住民税:控除対象外

▼妻(青色専業専従者)

  • 所得税:納付義務なし
  • 住民税:納付義務あり

解説

所得税、住民税ともに青/白色申告をしている納税者から事業専従者として給与をもらっている配偶者は控除対象外ですが、青色申告なら専従者給与を経費計上することができます。

妻の専従者給与は給与所得に分類され、100万円を超えると住民税が発生しますが、所得税は103万円未満なのでかかりません。

例その2

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

妻はフリーランスとして事業所得が年間40万円があり、夫はサラリーマンである。

▼夫(納税者/扶養義務者)

  • 所得税:配偶者控除を受けることができる
  • 住民税:配偶者控除を受けることができる

▼妻(被扶養者)

  • 所得税:不要
  • 住民税:不要

解説

年間所得合計額が条件内なので、控除対象となります。

また、妻自身の確定申告義務ですが、事業所得が年間48万円以上ない限り必要ありません。

妻自身の住民税も、事業所得が45万円を超えない限りかかりません。

例その3

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

夫は青色申告をしている個人事業主で、妻はパートで年間所得110万円ある。

▼夫(納税者/扶養義務者)

  • 所得税:配偶者特別控除を受けることができる
  • 住民税:配偶者特別控除を受けることができる

▼妻(被扶養者)

  • 所得税:給料天引きにて納付
  • 住民税:給料天引きにて納付

解説

年間所得合計額が条件内かつ個人事業主の夫から専従者給与をもらっていないので、控除対象となります。

この場合、妻自身の所得税や住民税は給与天引きになっていることがほとんどです。

例その4

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

1人暮らしをしながら大学に通い、親からは仕送りをもらっている20歳の子供が、アルバイトの給与所得が年間120万円ある。

▼親(納税者/扶養義務者)

  • 所得税:扶養控除を受けることができる
  • 住民税:控除対象外

▼子供(被扶養者)

  • 所得税:給料天引きにて納付
  • 住民税:給料天引きにて納付

解説

離れて暮らしていますが、仕送りをもらっているので扶養対象となります。

しかし、給与所得が年間120万円なので住民税に関しては控除対象外です。

例その5

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

年収2,000万円の夫(サラリーマン)と、妻はフリーランスで年間200万円の収入がある。

▼夫(納税者)

  • 所得税:控除対象外
  • 住民税:控除対象外

▼妻(納税者)

  • 所得税:納付義務あり
  • 住民税:納付義務あり

解説

夫に年間1,000万円以上の所得がある場合、所得税・住民税どちらも配偶者控除は受けることができません。

また、妻自身も事業所得として青色もしくは白色申告と納税義務が発生します。

例その6

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! 具体例

夫:年間給与所得が900万円のサラリーマン、妻:年間給与所得が122万円のパート、子供:14歳で中学生、夫の母親:80歳で同居している家族。

▼夫(納税者)

  • 所得税:配偶者特別控除あり、扶養控除あり
  • 住民税:配偶者特別控除あり、扶養控除あり

▼妻(納税者)

  • 所得税:給料天引き
  • 住民税:給料天引き

解説

扶養控除は夫の母親の分のみ控除対象となります。

子供は16歳以下なので対象外ですが、そのかわり児童手当が給付されます。

フリーランスの扶養|おわりに

フリーランスのわかりにくい扶養|とことん説明します! まとめ

様々なパターンで「扶養」と「税金」について解説しました。

働き方や暮らし方が人それぞれあるように、控除のかかり方や控除額にも差があります。

「控除」をもれなく受けるためにも、自分はどのポジションにあたるのかしっかり理解したいですね。

カテゴリー: フリーランス